迷走局

[地下駅] 世界初の海底駅、竜飛海底駅

公開:2013/09/25
更新:2011/12/21
訪問:2013/09/18
タグ: 探索 地下駅

本州青森と北海道間にある津軽海峡の海底を結ぶ、全長53.85km、海面下240mの青函トンネル。 その青森側の海底に存在する竜飛海底駅(乗車人員0人/日:2013年度)に行ってきました。

竜飛海底駅

竜飛海底駅を通過するJR貨物EH500形電気機関車

7月頃に遅めの夏休みを利用して、以前から気になっていた竜飛海底駅に行く計画を立てていました。 そんな中、駅が2014年に廃止し、見学ツアーを2013/11/10に終了するという報道が8月頃にされたたため、常に定員(2コースx30名)が埋まる人気チケットと化してしまいました。 筆者は1ヶ月前に川崎駅のみどりの窓口に早朝から並び切符を取りました。 友人が10:05頃に取ろうとした所、既に完売していたそうです。見学整理券は2,040円で販売していました。 (後日知りましたが、指定席券でなく整理券のため1ヶ月前の午前4時からできるようです。みどりの窓口が05:30に開く東京駅が確実そうですね。)

今回は函館発・函館着の竜飛1コースに参加しました。この他、新青森発・函館着の竜飛2コースが用意されています。(2013年) 竜飛1コース スーパー白鳥30号 函館 12:04発 竜飛海底 13:14着 見学 2時間35分 白鳥23号 竜飛海底 15:49発 函館 17:01着 竜飛2コース スーパー白鳥19号 新青森 12:45発 竜飛海底 13:51着 見学 2時間55分 スーパー白鳥25号 竜飛海底16:46発 函館 17:54着

今は、帰り方面が全て函館側となっていますが、以前は函館から青森方面に行く3つめのコースが設定されていたようです。

竜飛海底駅

当日は良い天気に恵まれました。函館駅の特急ホームでスーパー白鳥を待ちます。 竜飛海底駅では2号車のドア(前方一カ所)しか開きません。都合良く自由席となっているので、出口に近い前側に座り、青函トンネルに入った辺りで入り口近くに陣取りました。

竜飛海底駅到着(上りホーム)

駅に到着し、車掌さんが非常コックを使いドアを開けました。緑のジャケットや制服を着たJR北海道職員が4名ほど降りて行きました。

竜飛海底駅

職員の後に続いて見学者の降車が行われます。 平日でしたが、予約は定員に達しており、実際に参加したのは26名でした。(4名はキャンセルか……)

竜飛海底駅

ホームから出ると、本坑から直角の位置に連絡誘導路があります。このような連絡誘導路が各ホームに40メートル毎13本あります。 なんとホーム長は480メートルで、東京駅の新幹線ホーム(410メートル)よりも長く、最大編成の新幹線(17両)の停車にも耐えられます。 奥に見えるのは上りホーム誘導路になっています。

竜飛海底駅

到着後、連絡誘導路を抜けると、ベンチが設置されています。この辺りは火災時に煙を逃すために本坑よりも低い位置にあります、 始めに、見学ツアーのおおまかなスケジュールの説明があります。

竜飛海底駅

上りホーム誘導路の駅名表です。竜飛海底駅に来たという実感がしてきました。

竜飛海底駅

青函トンネル竜飛定点の看板です。海面下140mの深さだそうです。 ここから少し下り、本坑の下を通って、作業坑側に進みます。

竜飛海底駅

上りホームへの誘導路です。この垂直の壁の通路は本坑の直下部分となります。(奥が上り線側) 左にある30 20Iは、コンクリートの厚みが 側面30cm 床面20cmであることを示します。

竜飛海底駅

左側が歩いて来た上りホーム連絡通路で、右側は下りホームに繋がっています。 大きな荷物がある人は、中央にある金属製の棚に荷物を預けることができます。 トンネル上部には電線や空気ダクト・水道管などがひしめきあっています。

竜飛海底駅

ホームの連絡通を過ぎると、ケーブル斜坑の入り口があります。 名前が紛らわしいですが、これはケーブルカーが通っている斜坑に沿っている別の斜坑で、電線や通信線を収納しているそうです。

竜飛海底駅

ケーブル斜坑の辺りから、コンクリート壁から吹付コンクリートの壁に変わります。 吹き付けコンクリートは枠を作る必要が無く、時間が短縮されることもあり海底トンネルを掘るには欠かせない技術だったようです。 この吹付コンクリートの実用化は青函トンネルが初めてだったため、定期的に採取して耐久性等、様々な調査を行っているようです。

竜飛海底駅

右側の通路は本坑に沿っており、吉岡海底駅に繋がっているそうです。以前は歩いて吉岡定点まで行くイベントも行われていたようです。 このまま避難所がある左側に進みます。

竜飛海底駅

トンネル内で湧出た水を地上に配水するポンプ設備です。 吉岡海底駅にも同じ設備があり、予備を含めて4台のポンプがあります。 平常時は常に1台が稼働しているようです。

毎分排出される水の量は、なんと約20000リットル! 現在のポンプの性能は竜飛側が110000リットル/分、吉岡側が98000リットル/分の排水能力があるようです。

ポンプで排水された水は、ほとんどが海に流されますが、その一部は龍飛地区小水力発電所で発電(最大24Kw/h)のために使われます。 さらに、この水は海水と地下水(淡水)が混じった汽水ということで、チョウザメやヒラメ・イトウの飼育をする試験が行われているそうです。

竜飛海底駅

避難所に到着しました。 トイレは、手前にある緊急時用と奥に見えるキューブ状の見学者用の2つが用意されています。 長期間ためておき、年に数回回収しているようです、

竜飛海底駅

竜宮水族館。 中を見ても魚どころか水すら入っていませんでした。。。

竜飛海底駅

中央奥にあるのは、最も低い場所にある公衆電話(ピンク)です。 よく見るとトロッコのレール跡が1つ埋められて、もう一つはそのまま残っています。これは、埋められていない方を排水路として利用しているためだそうです。

竜飛海底駅

男子更衣室の中はこんな感じ。北斗星・カシオペアなどの夜行列車が止まった場合、寝巻から着替えるためにあるようです。

竜飛海底駅

避難所を奥に進むと、防風扉があります。奥にもう一つの扉があり、簡単なエアロック状態となっています。 新鮮な空気を送風機で斜坑の入り口から送り続け、立坑で排気を行っている都合で、このような設備が無いと強い風が来てしまうそうです。 なお、この防風扉は、人が入るドアの他に、防風扉自体を上方向にワイヤでつり下げ、大きな機材等を通す事や、火災時に換気の流量を増やす事ができるようになっています。 どちらかのドアが開いていると警告音が鳴り続ける仕組みになっていました。

竜飛海底駅

2つ目の防風扉を通ると竜飛海底駅を抜け、青函トンネル記念館の地下展示施設・体験斜坑のエリアに入ります。この写真の扉が竜飛海底駅の入り口となります。 竜飛海底駅が廃止されると、非常時以外ここから先に入る事はできなくなってしまいます。 竜飛海底体験斜坑については少なくとも2014年度中は営業を続けるようです。

竜飛海底駅

体験斜坑コーナーでは、トンネル掘削で利用した機器や、説明パネルなどが展示されています。 竜飛海底駅見学の場合は順路を逆に辿るのと、ケーブルカーの時間の制約があり長く見物することはできません。

竜飛海底駅

竜飛斜坑口です。ケーブルカーの線路と繋がっており、作業坑で利用する荷物の積み降ろしをここで行っていたそうです。 奥に見えるのが斜坑で、下側に体験坑道駅があります。

竜飛海底駅

体験坑道駅の近くには、自転車が大量に止められていました。保安用に利用されている物と思われます。 湿度が常に80%から100%という環境もあり、錆びが酷い状態でした。

竜飛海底駅

青函トンネル竜飛斜坑鉄道のケーブルカー「もぐら号」に乗り込み地上に出ます。

竜飛海底駅

このケーブルカーの定員が40名ほどのため、竜飛海底見学ツアーの人数が30名になっているようです。 移動中はピコンピコンというような警告音が絶えず流れていました。乗り心地は、振動が激しく、お世辞にも良いとは言えません。

竜飛海底駅

地上の青函トンネル記念館駅にたどり着きました。物々しい風防扉が閉まってからの下車となります。

竜飛海底駅

地上駅の外見です。トンネル内の気圧を保持するためにコンクリートの無機質な建物となっています。

竜飛海底駅

記念館から外に出ると海が見えます。 自由時間は40分ほどで、あまり時間がないため竜飛岬まで行く事はできません。 周辺には屋外展示や風力発電所・階段国道339号線・竜飛岬などがあります。

竜飛海底駅

記念館内は青函トンネルの説明や、測量に使った機器などを展示しています。 集合時間になったら、再度記念館内に集まり、ケーブルカーに乗り込みます。防風扉の操作もあるため出発5分前に駅前に居なければなりません。

竜飛海底ケーブルカー 下り全面展望

再び、海底駅に戻って来ました。途中避難所で休憩を入れてから、下りホームに向かいます。

竜飛海底駅

到着時に降りたホームと連絡誘導路が反対側に見えました。

竜飛海底駅

青函トンネル本坑です。駅名表が右側に見えます。 既に新幹線を通すために、60kgレールの三線軌条になっています。 今後も竜飛定点として緊急時に停車する見込みです。 照明の少し上の管の突起や、レールの下のコンクリートにある四角い穴の辺りに突起がありますが、これは火災時に利用されるスプリンクラーです。 5m毎に設置されており、停車時に速やかに消火することができるようになっています。

竜飛海底駅 上り貨物列車通過

帰りの特急白鳥を待っていると、反対側の上り線を貨物列車が通過しました。冒頭の写真はこの時に撮影しました。

函館行き特急白鳥23号が竜飛海底下りホームに到着

竜飛海底駅

帰りの特急白鳥が到着しました。 ホームを見ると、かなり狭い事が分かります。新幹線を走らせるためには、ホームを更に小さくしなければならないため、廃駅後に削る工事が行われるそうです。 他のサイトのレポートでは、ガイドさんも一緒に帰るという記述がありましたが、竜飛1コースではガイドさんはホームに残って、見送っていました。

竜飛海底駅

1時間10分ほどで函館駅に帰ってきました。 隣のホームには札幌行きの北斗が隣のホームに入っていました。

所感

2時間半の見学時間は、あっという間に過ぎてしまいましたが、念願の海底駅を満喫することができました。 2014年になると駅は廃止されてしまいますが、今後も竜飛定点として保安・避難用としての設備として利用されるでしょう。

竜飛海底駅

通過した際の吉岡海底駅。ホームの構造は竜飛海底と同じようです。 この駅がJRで最も低い位置にある駅ということなので、竜飛海底は2番目に低い位置にある駅なのだろうか。

竜飛海底ツアー中止

平成25年(2013年)10月16日 追記(台風26号(Wipha:ウィパー)接近中により"竜飛海底 見学 中止"で検索してくる人が多いため )

青函トンネルは海底にあり、天気の影響を受けにくい事は知られていますが、実は竜飛海底見学ツアーは天候が悪いと中止になります。 以下は、私が見学した際の案内員さんと、運悪く中止のツアーに参加した友人の話を元に記述してあります。

平成25年(2013年)09月16日。台風18号(Man-yi:マンニィ)が接近し、青森に25mmの雨が降りました。

函館駅を出発する際は、特に問題なく竜飛海底駅まで到着しましたが、非常コックで扉を開ける直前に、指令センターから中止の指令が出たそうです。 なぜ中止されたかと言うと、天候が悪化し帰りの列車が出せなくなる可能性が高くなるためだそうです。 列車内では楽しみにしていただろう女の子が泣き出す等、阿鼻叫喚の図だったそうです……

そのまま乗車している列車で津軽今別駅まで行き、停車していた函館方面の列車に乗り換え、帰る事になってしまいました。

津軽今別駅

降りている遮断機を、JR職員が持ち上げている様子。Copyright(C)2013 ARINOKI

なお、竜飛海底までの乗車券・特急券・見学整理券は全て払い戻しになりました。

案内の方は、折り返しの列車が来るまで竜飛海底駅ホーム周辺を見学する時間はあるので、柔軟に対応できれば望ましいと話されていましたが、保安上なかなか難しいのでしょう。

撮影の際に有益な情報一覧

  • 基本的にはガイドと共に行動することになります。<
  • 由時間があるのは地上のみとなります。
  • 20mmから35mm程度の広角がお勧めです。今回のレポートの写真のほとんどが24mmレンズで撮影されています。
  • 三脚を利用しての撮影は、時間の制約もあり、それなりに体力を使います。
  • ガイドさんが先導し、最後尾には監視役的な人がついています。
  • 特に防風扉に入る前と、体験坑道を出てケーブルカーに乗る前は時間がありません。
  • 体験坑道は一度しか通りません。こちらは地上からも入ることができ、時間も短いので、撮影は後日に回した方が良いです。
  • 函館発のツアーでないと、連絡通路を通る事ができないようです。
  • ガイドさんは貴重な話をしてくれます。出来る限り離れないようにしましょう。(私はビデオカメラを持たせた助手に説明を撮影してもらい写真撮影に集中することにしました)
  • 斜坑のケーブルカー登り先頭を押さえたいときは、体験坑道辺りから先頭に居ると良いでしょう。下りはほぼ運頼みです。
  • ガイドさんへの質問は常時可能です。
  • 無茶はしないようにしましょう。列車がくる際に線路に出過ぎて注意されている人がいました。筆者は先頭集団と離れすぎてしまい注意を受けました……
  • 折角なので、八甲田丸・摩周丸の見学をお忘れなく。

その他写真

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切符一覧

切符一覧

竜飛海底駅見学で利用した切符を全てスキャンしました。リンク先に大きめの画像があります。 マルス券は全て川崎駅発効となります。2枚購入しているので、1枚で購入したときと金額表示が一部異なります。

竜飛海底駅見学整理券(竜飛1コース)

函館から竜飛海底乗車券

函館から竜飛海底特急自由席券

竜飛海底から函館乗車券 北海道乗車記念スタンプ付き

竜飛海底から函館特急指定席券 北海道乗車記念スタンプ付き

体験坑道乗車券

青函トンネル記念館入場券