迷走局

西武鉄道の休止線、安比奈線を歩く

公開:2013/10/13
更新:2020/02/15
訪問:2013/07/06
タグ: 探索

西武鉄道安比奈線

安比奈線・安比奈駅は大正15年(1925年)02月15日に入間川で採取した砂利の運搬のために開業しました。 南大塚駅から3.2kmの長さの貨物専用線として、長らく活用されていましたが、昭和42年(1967年)に入間川での川砂利採取が禁止されたため、営業休止となりました。 その後、車両基地・的場駅まで延長するなどの計画が上がりましたが、実現せず、今に至るまで廃線されずに休止線として残っています。  (2020年追記 その後、正式に廃線となりました)

西武鉄道安比奈線

西武新宿駅から西武新宿線の列車に乗り、南大塚駅にたどり着きました。

西武鉄道安比奈線

駅構内から北側を見ると、南大塚駅から分岐し、北上する安比奈線が見えます。 コンクリート枕木が行く手を阻んでいます。

西武鉄道安比奈線

少し先に進むと、踏切らしき形跡がありました。 しかし、左側の架線跡につながっているような位置関係ではありません。 どうやら、休止になってから新たに作った踏切のようです。 記事冒頭の写真のように、駅から出る線路にはつながっておらず、なぜこのようなものを新設したのかは謎です。 一説によると、廃線ではなく休止線であるためのアピールだとか……

西武鉄道安比奈線

廃線脇の道路を進むと、直ぐに国道16号線にあたります。 かなり古く状態は悪いですが、線路・架線・保安機などは全て残っています。

西武鉄道安比奈線

国道16号線を横切る箇所は、アスファルトで埋められてしまっています。 交通量的に、路線復活の際は高架橋などで渡るようになりそうです。

西武鉄道安比奈線

ここから線路に沿って歩きます。 いきなり、木製の電柱をコンクリート柱で補強したものに遭遇しましたが、このコンクリの柱が線路の真ん中に刺さっており、措置のヤケクソ具合が休止線であることを強調しています。

西武鉄道安比奈線

単心型架空ケーブル用になっている辺りが古さを感じます。

西武鉄道安比奈線

近隣の住民によりガーデンとして利用されています。西武鉄道の所有地のはずですが、事実上黙認状態だとか。 花だけではなく、トウモロコシやナスが栽培されていました。

西武鉄道安比奈線

板金工場周辺で川が横切っていますが、橋が無いので少し回り道をします。北周りで行きましたが、小規模な用水路があるので、南回りがよさそうです。 川を渡ると安比奈線内で最も長いガーダー橋がありました。 今まで住宅地だったが、この先は水田が多くなります。

西武鉄道安比奈線

田園風景を歩くと、線路は森へ突き進んで行きます。 当日は気温が高かったので、かなり涼しく感じました。

西武鉄道安比奈線

森を出て、道路を越えると、ガーダー橋が見えます。 2009/03/30から09/26までNHKで放映されたドラマ「つばさ」のロケ地として利用され、観光資源として利用する際に、橋の修繕と柵の設置が行われました。

西武鉄道安比奈線

植物の根っこが線路を浸食しています。 先ほどの森の中と、この辺りはマムシが出るようで、注意を促す看板がいくつか設置されていました。

西武鉄道安比奈線

少し歩くと八瀬大橋との交差部に差し掛かります。 安比奈線を復旧させるという話になると、この地点をどうやって越えるのかが論点となるようです。

西武鉄道安比奈線

都合良く、北側から橋の下を通る事ができました。

西武鉄道安比奈線

八瀬大橋との交差部を反対側から撮影。

西武鉄道安比奈線

そのまま駅の方に歩みを進めると、水道橋が見えてきました。 途中、子供用のモトクロスのコースで、親子が練習に励んでいました。

西武鉄道安比奈線

駅入り口に到着。所々に曲がった線路や架線柱がありますが、草は茂り、地面は荒れ、貨物駅とはいえ、駅があったような気配はありません。

西武鉄道安比奈線

安比奈駅構内跡です。いくつかの架線柱跡が残っていました。 この辺りから砂利を貨物に載せていたのでしょう。 河川からの砂利取得は禁止されていますが、私有地からの砂利運搬はまだ行われており、ダンプカーが何台か通過していきました。

西武鉄道安比奈線

立派なコンクリート製の第4種車止め。安比奈線はここで終点となっていました。 帰りはバスにしようと考えていましたが、日曜日はバスの便が無かったので、近くのデイリーヤマザキで休憩中に偶然遭遇した休憩中のタクシーを捕まえて帰りました。

都心から1時間弱で行く事ができるので、気軽に行きやすいのが魅力的です。 探索者数が多いためか、記事も多く、迷いにくい探索でした。 そして、いつ安比奈線の再開計画が実行されるか、もしくは廃線されるかは分からないので、興味がある方は早めに見に行く事をお勧めします。