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宇都宮の地下神殿 大谷石地下採掘場跡へ行く

宇都宮の地下神殿で有名な、大谷石地下採掘場跡に行ってきました。
東日本大震災の後、崩落の危険があるということで、しばらく閉館していたようですが、2013年4月2日から再び開館したようです。

大谷石

こちらの採掘場跡は、大谷石を得るために1986年(昭和61年)まで利用されていました。 およそ67年間も稼働していたため、21,000平方メートル、平均深さ30mの、野球場が一つ入るほどの巨大地下空間ができました。

(Do As Infinity - 生まれゆくものたちへ)

東京駅から宇都宮駅まで新幹線で50分。そこからバスで30分、資料館前バス停に到着です。(宇都宮駅西口6番乗り場 45系統 立岩行き)

大谷町に近づくにつれ、大谷石で作られた建造物が多くなってきました。 バス停を降りると、つるはしで削ったと思われる岩肌が露出している山が現れました。

大谷石

バス停から少し歩くと、倉庫として利用されていたと思われる大谷石造りの建物に設置された看板が見えました。 資料館まではここから徒歩3分ほどで到着します。

大谷石

道路沿いにも看板がありますが、あまり分かりやすくは無いので、車で行く方はあらかじめ地図を調べておいた方が良さそうです。

大谷石

大谷石は今でも採掘が行われており、建築材として活用されています。 2000万年前に火山灰や軽石が積もってできた凝灰岩の一種で、以下のような特徴があります。

  • 耐火性にすぐれている。
  • 石質がやわらかいため、加工が容易である。
  • 石の重量が軽い。

昔は、五十(5寸×1尺×3尺)(およそ15cm×30cm×90cm)の大きさのものが流通していたそうです。 このサイズの石を掘るのに、つるはしを4000回も降る必要があるため、1日で1人が10本作るのが精一杯だったようです。 そんな製造方法なので、石の値段の7割が人件費を占めていました。 その後、機械化が推進され、1960年(昭和35年)に機械化が完了した際には、5倍ほどの生産量になったそうです。 なお、この採掘場では1,000万本もの大谷石が切り出されたそうです。

現在は薄く切って素材を生かした使い方が多いそうです。

大谷石

資料館の近くまでくると、石を切り出した迫力のある断崖絶壁が見えました。 落差はおおよそビル7階建てと同じ位です。

大谷石

資料館に到着しました。少し場違いなガラス張りの建物です。

入館料600円を支払い、資料館に入ります。 採掘場への入り口には、防風扉がありました。 また、防風扉の横には貸し出し用毛布があります。これは採掘場跡は1年を通して気温が摂氏5度しかないためです。
なお、三脚の持ち込みは可能ですが人が多い場合は断られる場合もあるようです。 また、採掘場跡に2時間以上かかる撮影をする場合は、入場時にスタッフに一声かけてほしいとの掲示がありました。

大谷石

資料館内には、採掘が行われているときに利用されていた、道具や写真などの資料が展示されていました。

大谷石

防風扉を開き、採掘場へ進みます。 すぐに階段があり、下っていくと大きく開けた通路に出ます。

大谷石

大谷石

大谷石

大谷石

大谷石

中には、いくつかのモニュメントが存在しており、立坑からの光による演出をうまく利用していた。

よく見ると、壁面上部は細かい模様の掘り跡ですが、下部は縦筋がついています。 これは、手彫りと丸鋸式平場採掘機の違いによるものです。

大谷石

ステージが用意されており、ここでライブなどが行われています。 冒頭にあるように、プロモーションビデオなどの撮影にも利用されています。

大谷石 こちらの写真は宇都宮競輪 開設66周年記念 GⅢのポスターの素材として採用されました。

この採掘場は、大谷石を採掘するのが主目的でしたが、広い地下という事もあり、 太平洋戦争・第二次世界大戦時は戦闘機の工場・食料庫として利用されていました。 現在は、ロケ地やコンサート会場、さらにプリエール教会が存在し結婚式場(挙式は33万円から)としても利用されています。 教会は資料館として解放されている範囲とは離れた所にあり入り口が違うそうです。

大谷石

大谷石

立坑が至る所に存在します。これは、地上から掘り進め、どの辺りを採掘しているか調べる上でとても重要だったそうです。

大谷石

大谷石

大谷石

大谷石

採掘場の壁には、白い石綿のような物質がついていました。 これはゼオライトと呼ばれるもので、有害物質の除去効果があります。

大谷石

大谷石

結局、採掘場内には1時間半ほど滞在しました。 続いて、近辺にある観光名所を訪問してみました。

大谷石

日本最古の石仏といわれる 大谷観音を訪ねました。 山の地肌に露出している大谷石に直接掘った仏像が複数展示されています。 中でも、大谷寺本尊千手観音は、弘仁元年(平安時代初期)弘法大師の作と伝えられています。

大谷石

戦没者の慰霊と世界平和を祈念して作成された、大谷平和観音です。 全長88尺8寸8分(26.93メートル)もの高さを誇ります。 すべて手彫りで作成したため、1954年(昭和29年)に完成するまで6年ほどかかったそうです。 大仏の背後に展望台があり、大谷町を見渡す事ができます。

大谷石

廃墟ファンには有名な、大谷グランドセンターが。大谷観音前バス停留所から見えました。

宇都宮駅に帰って餃子を食べて帰路につきました。 幻想的で広大な採掘場跡に圧倒されました。


リンク

大谷資料館

大谷石材協同組合


使用機材

Canon EOS 5D Mark II
Canon TS-E17mm F4L
Canon EF24mm F1.4L II USM<
Canon EF35mm F1.4 USM
三脚

記事情報

探索日 2014_01_12
初出 2014_01_28