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庄和排水機場 調圧水槽を見学した

春日部の地下神殿、庄和排水機場 調圧水槽の見学に行きました。 広く、独特な空間のため、映画などの撮影にも利用されています。

(ACIDMAN - REMIND)

中川流域は、昔から水がたまりやすい地形などの様々な悪条件によって洪水に悩まされてきました。 また、都市発展化が速急に進み、河川整備が追いつかずに洪水被害の規模が拡大しつつありました。 そんな中、洪水の被害を減らすため中川・綾瀬川流域の洪水を江戸川に放水する「首都圏外郭放水路」の建設が行われました。

青い線が「首都圏外郭放水路」で総延長6.3kmもの長さを誇る地下放水路です。国道16号線下50mほどの深さに埋没されています。 庄和排水機場は青いピンの場所にあります。 第1立坑は排水のために利用されていますが、 第2立坑は「第18号水路」 第3立坑は「中川」「倉松川」 第4立坑は「幸松川」 第5立坑は「大落古利根川」から増水した水を取り込む役割を果たします。 また、第3立坑は放水路内に溜まった水を平常時に川に戻すポンプの施設があります。3日ほどかけて放水路内の水を排出するような運用をしているようです。

東武鉄道 野田線 南桜井駅

浅草から電車で一時間。途中、春日部駅で野田線に乗り換え、南桜井駅に到着しました。

春バス

龍Q館までは交通手段が少なく、パンフレットなどでも徒歩(約40分)かタクシーが推奨されていますが、少ない便で市営バスが運行しています。 バスを利用する場合は12:00からの見学を予約するのが良いでしょう(2013年2月時点)

庄和排水機場

龍Q館 (庄和排水機場)に到着しました。 ガスタービンエンジンを用いたポンプ設備と展示場・制御室が組合わさっているため独特の形をしています。

受付

エレベーターで展示室に行くと、既に受付が終わった人が何名か居ました。 海外から見学に来る人も多いらしく、当日も何人か見かけました。

余談ですが、帰りのタクシーの運転手さんに話を聞いた所、海外の人を乗せたは良いけれども「水、水」としか行ってくれないので近くにある「水角」という地名の方か悩んだという話を聞きました。 この辺りは川や水田が多いため水にちなんだ地名が多く存在します。

中央司令室

受け付けの奥に見えるのは、中央操作室です。 秘密基地や地球防衛軍司令所などとしても利用されています。(映画等で) ここでは地球の防衛ポンプの稼働管理・放水路の監視などが行われています。

ツアー開始

時間になると、館内に展示されている模型で施設の概要が説明されます。 模型は非常によく出来ており、常設の展示も充実していました。

屋上から北側を望みます。 奥に見える川が江戸川で、調圧水槽内の水を右下の排水樋管から放出します。 シールドマシンの先端部を再利用した巨大時計が展示されています。

南側にはサッカーグラウンドが見えます。この地下に地下神殿と呼ばれる調圧水槽が存在します。 中央左に見える小さなコンクリートの建物が、調圧水槽の入り口です。

調圧水槽への入り口です。ここから約120段の階段を下ります。 水が入る都合もあり、エレベーターは用意されていません。

第1立坑。内径31メートル、深さ70メートルほど。スペースシャトルがすっぽり入るという表現でした。 この下に首都圏外郭放水路への入り口があります。 階段を下りたい気持ちになりますが、施設の利用用途を考えると一般開放することはなさそうです。 手前にある小さなコンクリートの突起は、車などの転落防止のためにあるようです。 この上には、汚泥を撤去するためのブルトーザーをクレーンで出し入れする設備があります。

今回は、海外のTV番組作成会社が撮影をしており、行動範囲が大幅に制限されてしまいました……。 調圧水槽は、1秒間に200m立方メートルもの量で流れてくる水の勢いを緩和するために設置されています。 この設備が無いと、逆流や衝撃波による設備の破損に繋がります。

重量500トンの柱が59本も配置されています。上部のコンクリート壁を支える役目がありますが、地下水で施設が浮上しないための重しの役割も担います。

調圧水槽内の自由時間は10分ほどで撮影には短く感じました。 彩龍の川祭りや江戸川の祭りの際は、予約無しでより自由に見学できるようなので、そちらを利用する方が良いかもしれません。 巨大建築物ファンは一度見に行く事をオススメします。

総工費2300億円もの費用がかかっているということですが、稼働してから浸水戸数も減っており、10年間の運用で480億円の浸水被害軽減効果が出ているそうです。 農作物などの被害を含めると、更に被害額が減っているとの事。

地下50mに6kmもの巨大水路・水槽を造り、毎秒200立方メートルで排水する14000馬力タービン。自然災害と戦う土木技術の凄さを実感しました。


参考

江戸川河川事務所

江戸川河川事務所 首都圏外郭放水路

使用機材

Canon EOS 5D Mark II
Canon TS-E17mm F4L
Canon EF24mm F2.8 IS USM
Canon EF35mm F1.4 USM
三脚

記事情報

探索日 2012_02_12
初出 2013_04_07