記事


二ヶ領用水 宿河原線起点から多摩川合流点まで散歩

川崎市民として以前から気になっていた、二ヶ領用水と久地円筒分水を見に行きました。

二ヵ領用水とは、1611年(慶長16年 江戸時代初期)に稲毛領・川崎領の2つの領に渡って水を通すために作られた用水路です。 多摩川の2地点から取水し、川崎市幸区まで流れる用水路となっています。以前は農業用水や工業用水として利用されてきましたが、現在は都市化が進んだため環境用水として整備されています。

今回は、登戸駅を出発し、宿河原堰取入れ口から、久地円筒分水を見学し、平瀬川・多摩川合流点を経由して武蔵溝ノ口に帰る事にしました。(約8.3km)

お断り:余っていたフィルムで撮影し、おまけ機能のフィルムスキャナで取り込んだため、写真の画質がよくありません。

二ヶ領用水

JR登戸駅を5分ほど歩くと二ヶ領宿河原堰管理所 二ヶ領せせらぎ館に到着しました。 多摩川で見れる植物や魚・鳥などの展示や資料などの配布や、ボランティアの方による説明を聞く事ができます。 お手洗いや自販機もあるので、自転車で多摩川を走っている人の憩いの場となっていました。

二ヶ領用水

宿河原堰取入口です。ここが二ヶ領本川宿河原線の起点となります。

二ヶ領用水

少し下流川にあるのが二ヵ領用水宿河原堰。 現在の堰は1999年(平成11年)に落成した三代目のものとなります。 土木学会デザイン賞2010を受賞しており、とても見晴らしがよく、ドラマや映画のロケなどにも利用されています。 水位低下や取水制御の都合で、一代目(竹製!)は1629年(寛永6年)に、二代目は1949年(昭和24年)に改築されています。

二ヶ領用水

宿河原堤桜並木を歩きます。 地元の有志により、両岸に約420本のサクラ(ソメイヨシノ・シダレザクラ)が植えられています。

二ヶ領用水

南武線と立体交差している、船島鉄橋。205系が走っています。 途中で水遊びをしている子供や家族連れを多く見ました。


ビュー: 船島鉄橋 205系(撮影: 迷走局

二ヶ領用水

1979年(昭和54年)に開園した川崎市緑化センター付近で、五ヶ村堀緑地から分水した上河原水路が立体交差しています。 こちらでは、様々な植物が展示されています。

二ヶ領用水

東名高速道路の高架に突き当たると、桜並木も終わりとなります。

二ヶ領用水

本流との合流地点です。この辺りからコンクリートで補強された都市河川に一変。辺りからコンクリートで補強された都市河川に一変。

二ヶ領用水

合流地点の近くにJR南武線 久地駅があります。開業当初は久地梅林停留場という駅名で、梅林で埋め尽くされるような光景で旅客を誘致しようとしたそうです。

二ヶ領用水

巨大マンションの反対側車道に曲がり、川沿いに進むと平瀬川にぶつかります。 写真手前辺りに、円筒分水が出来る前に分水に利用されていた二ヶ領用水久地分量樋の記念碑があります。 流量により分配比率が変わってしまうため廃止されてしまいました。

二ヶ領用水

円筒分水への取水口(右)と、余剰水放流口です。 円筒分水へは平瀬川の地下を経由する水路で結ばれており、余剰水はそのまま平瀬川に流れるようになっています。 平瀬川の水は二ヵ領用水の水としては利用されません。

二ヶ領用水

久地円筒分水に到着しました。1941年(昭和16年)建設としては革新的な機構で造られたため、国登録有形文化財として登録されています。 先ほどの取水口からサイフォン経由で導水された水を、均等に分配されるような構造となっています。

二ヶ領用水
※画像上の数値はメートル(直径16m*π = 円周50.265m)

直径16mのコンクリート製、かんがい面積に合わせた比率に合わせて円周上の長さが分配されています。 川崎堀への配分率がかなり大きく見えますが、昔は川崎区の方まで二ヵ領用水が続いていたため、このような分配となっています。

詳しい仕組みは川崎市教育委員会:二ヶ領用水久地円筒分水のページへどうぞ。


ビュー: 久地円筒分水(撮影: 迷走局

二ヶ領用水

久地円筒分水の南方面を見ると、平瀬川上流に新旧二つのトンネルの出口が見えます。 これは津田山の下をくぐる長さ350mほどのトンネルです。 平瀬川は度々洪水を起こしていたので、このトンネルを造り多摩川に放流するよう流路が変更されました。 この新しい流路は新平瀬川という呼ばれる事もあるようです。

津田山トンネル

反対側の津田山駅からのトンネル入り口です。こちらも新旧二つの入り口が見えます。

二ヶ領用水

平瀬川下流を多摩川方面に10分ほど歩くと、多摩川合流点にたどり着きました。 奥に見えるのは二子玉の高層ビルです。

二ヶ領用水

合流点から、大山街道を歩いて行くと、再度二ヵ領用水川崎領水路を渡る大石橋がありました。

二ヶ領用水

この橋の近くには、川べりへ降りる階段が用意されています。 この近辺では、2000年頃から灯籠流しイベントが行われているようです。

二ヶ領用水

暫く歩くと武蔵溝ノ口駅に到着しました。この写真正面に写っている円状のものは「円筒分水広場」です。


大きな地図で見る

上空から見ると、久地円筒分水をモチーフとしたことが分かります。

実際に二ヵ領用水路を歩いた事で、400年前に造られた農業用水路が、それぞれの時代に合わせて変化していく様を想像することができました。 また円筒分水は、水による争いの歴史と重要さを、実際に稼働している様を見ることにより実感することができます。 春は桜も咲くので、一度見に行ってみてはいかがでしょうか?

久地円筒分水と桜

桜の写真が欲しかったので、再訪問しました。(2014_04_05)

前回は宿河原から久地円筒分水には、用水路沿いに歩いてたどり着きましたが、今回は津田山駅から山を越える道を利用しました。

山とはいえ、住宅街になっているため、階段が整備されています。最短ルートではありますが、足腰弱い人には大変だと思われます。 帰りは上記地図、紫の切通しルートで帰りました。こちらの方が高低差が少ないです。自転車の場合はさらに迂回して大きな道を通った方がよさそうです。

久地円筒分水と桜

久地円筒分水の川崎堀の水路出口に桜が2本植えられていました。 手前に階段もあるため、花見を楽しんでいる人もいましたが、電車で行くとほかの所に比べて歩くため、思ったよりも混んでいませんでした。


参考

二ヶ領せせらぎ館

川崎市河川

多摩川散歩

使用機材

Canon EOS Kiss III
Canon EF24mm F2.8 IS USM
Canon EOS 5D Mark II
Canon EF8-15mm F4L Fisheye USM

記事情報

探索日 2012_04_28
初出 2013_05_06
桜撮影日 2014_04_05
記事追記日 2014_04_06