記事


中央防波堤を見学した

お台場より更に沖側の人工島、中央防波堤にて開催された、東京都環境局 廃棄物埋立管理事務所主催の"大人のための環境見学会"に参加してきました。 防波堤と名前はついていますが、東京23区のゴミを埋め立てている人工島です。

なぜこの埋め立て地が「中央防波堤」と言われるのかが気になったので調べてみました。 結論から言うと、埋め立て地を作る際に防波堤と一体化したためこのような名前が定着したようです。 下の地図の赤が西防波堤で、橙が東防波堤。そして、緑の一番大きい線が中央防波堤ということです。 そのため、「中央防波堤"内側"埋立地」と「中央防波堤"外側"廃棄物処理場」に名称が分かれています。 埋立地・廃棄物処理場の名称の違いは、埋め立て中か、埋め立て後かで変えているそうです。

産業用の利用として埋め立てられた東扇島と違い、コンビニなどが全く見当たらないのはゴミ埋め立て地という主目的のためでしょうか?

当日は残念ながら雨が降ってしまいました。 東京臨海高速鉄道りんかい線 東京テレポート駅を降り、3番バス乗り場の波01系統バスへ乗ります。(大人200円) 平日や土曜日はそれなりに便がありますが、日曜日は1往復のみ!

波01系統バス

お台場から、中央防波堤までは、第二航路トンネルでつながっています。典型的な沈埋トンネルでしたが、川崎海底トンネルよりも高低差がなだらかな印象を受けました。 1980年(昭和55年)に落成していましたが、ごみ収集車や見学者以外は通行禁止されていましたが、2002年(平成14年)より大田区側の臨海トンネルが出来た事により、一般車の通行ができるようになったようです。

東京都環境局中防合同庁舎

10階建ての環境局中防合同庁舎に到着しました。 埋め立て地で10階建てというと、東扇島の川崎マリエンを思い出しましたが、羽田空港が近いため航空法の上限まで延ばすとこの高さに落ち着くのかもしれません。 中央防波堤の庁舎周りのエリアは土が埋められているので高いビルが立てられますが、ゴミの埋め立て地だった所は地盤が緩いため、主な活用方法は公園となってしまうようです。

会議室

100人は収容できる会議室に案内されました。 今回の参加者枠は21人で埋まっていましたが、なんと半数がキャンセル! 頭痛で吐き気がするくらいなのに参加する人も居るくらいなのに!(マテ

はじめにビデオを見てゴミ処理についての理解を深めます。 前方には、職員が自作したハエ取り機や、汚水処理・ゴミや資源のサンプル。粗大ゴミ破断用ハンマーなどが展示されていました。 一通り説明が終わると、ツアーの始まりです。

展望台

最上階は、周りが展望台となっています。エレベータホールの近くから、新木場方向を望みます。 奥に見えるのが東京ゲートブリッジです。

内側埋め立て地は焼却処理が行われていない時代に埋め立てられたため、未だにメタンガスが吹き出ているようです。 メタンガスは燃焼しやすく、二酸化炭素の20倍の温室効果があるガスのため、回収して発電用のエネルギーとして利用しているようです。 この写真では分かりにくいですが、中央奥に2機の巨大な風力発電機があり、島内の電力をまかなっているようです。

さらに、写真手前の施設は汚水処理施設となっており、埋め立てられたゴミから染み出た汚水(浸透水)の処理を行っているそうです。 この処理にかかるエネルギー、島内で利用する電力の約半分に相当するそうです。

展望台ツアー

展望台から見える景色などの説明が行われました。 ゴミの埋め立ては東京都環境局が行いますが、ごみの収集と、焼却等の中間処理は東京都二十三区清掃一部事務組合という特別地方公共団体が行うそうです。

近くに羽田空港に着陸する旅客機が頭上を絶えず通行していました。 埋め立て地の向こうは水平線のため、天気と風向きによっては羽田空港に離着陸する飛行機の撮影によさそうです。

外側廃棄物処理場

東京湾側にある中央防波堤外側廃棄物処理場です。左に少し見える調整池らしきものがある方がゴミの埋め立て地で、コンテナがある方は土が埋め立てられています。 航空法と、護岸の耐圧制限のため埋立て高は30mまでに制限されており、面の広さも航路利用の制限があるためゴミの量がこのまま推移すると50から60年で東京23区最後の処分場 新海面処分場(480ha)も埋まってしまうそうです。

マイクロバス

こちらでは、燃えないゴミを細かく砕く作業が行われています。 この行程ではペッドボドルや缶が入っていても分別できません。

分別する様子などが視覚的に分かりやすいため、小学生向けの社会見学で、この場所を説明する際に「燃やせばゴミ 分ければ資源」という言葉を3回は伝えているそうです。 見学の際は、一番隅でマットレスの分解が手作業によって行われていました。スプリングとスポンジが組み合わさっているため分別が難しいようで、寝具メーカーによる見学も実施されているようです。

この後、汚水処理施設や、メタンガス発電所、風力発電所などを巡りました。 天気がよければ風力発電所の足下でバスを降りる事ができるようです。

今回残念だったのは、被災地からの瓦礫受け入れで放射線を怖がる人がいるため、清掃工場内の見学が自粛状態となっているようです。 小学生などが見学に来るので、仕方ないと思いますが"大人のための環境見学会"なので、希望者は入れるようにしてほしかったです。 もっとも、被災地からの瓦礫よりも、都内の下水処理により濃縮された廃棄物の方が線量が強いということでしたが……

今回は自治体が開催する見学会に参加して来ました。 清掃工場の見学といえば、小学生の時の定番ですが、大人になってから見ると理解しやすく、とても良い勉強になりました。 船に乗っての無料ツアー(水曜日開催)もあるので、そちらも気になるところです。

記事情報

初出 02012_11_26