デジタル現像を多く行っている身として、フィルムの現像が気になったので、いろいろとネットで探していくうちに、暗室いらずで黒白フィルムの現像ができる"ダークレス"を知りました。
ダークレスについてはサイト上で記事を書いている方が多く、うまく現像するコツからカラー現像までのノウハウが蓄積されています。 以上のこともあり、今更とも思われるかもしれませんが、写真を多用しての現像レポを行いたいと思います。
まずは、ダークレスの購入!フィルムから現像用品まで、全て川崎のヨドバシカメラで購入しました。 店名に"カメラ"が付くだけあり、他の家電店と比べると写真関係の品揃えには一線を画してします。
ダークレスの基本セットの中にはパトローネオープナー・定着液(橙)・現像液(青)・アンプルカット保護カバー・現像タンク、それと説明書が入っています。これとは別に水洗い用プラスチック容器・フィルム用手袋(綿) ・フィルムクリップ・ガーゼ・温度・時計・ティッシュペーパーがあると良いでしょう。2500円ほどで現像キットがそろいます。
なお、処理できるフィルムとしてネオパンSSが指定されていますが、ネオパン100ACROSも問題なく処理できました。 ただし、フィルム軸の固定方法が違うため、他社のフィルムの中には処理できないものがあるようです。
主な流れは 現像(3分)→定着(4分)→水洗い(30分) です。
まずは中蓋をパトローネにはめ込み、回転ふたを差し込みます。
この状態で3秒で10回転の早さで回す練習をします。しかし、実際どのくらいの速度で行うのか分かりにくい……
ということで、Flashにて回転のテンポを計るためのアニメーションを作ってみました。正直なところ結構早く感じます。
練習が終わったところで現像を開始!ガラス製のアンプルを折り、薬剤を現像タンクに入れます。
保護カバーをかけ、丸い印を手前に向けて、反対側に押し倒します。
切り口が鋭いので手を切らないように気をつけましょう。
現像液をタンクに入れます。逆さにしただけでは液が出ないので、底を指でトントンと軽く叩く必要があります。
ここで、現像液温を測定。20〜25度を守る必要があるそうです。 計ってみると31度……
気にしないで次に進む事にしました。
パトローネを時計とは反対側に回し緩め、ハンドルが重くなった状態でタンクに入れ、現像液を5秒ほど浸透させます。 (どうやらこの作業は重要だそうです)
先ほど練習した通り3秒間で10回のリズムで時計回りに回転させます。 液温が上がらないように、台に置いて摘むように持つ必要があります。 適度(私の場合は10秒に一回)に反対側に静かに回し、ハンドルが重くなったら、また時計回りに回転させます。 これを三分間繰り返します。思ったより疲れました……
パトローネを取り出し、ティッシュに内部の現像液をしみ込ませます。 現像タンクに入っている現像液も他のティッシュ(雑紙)にしみ込ませて廃棄します。
次に定着液を先ほどの現像液と同じ要領で取り出し、タンクに入れます。
パトローネをタンクに入れます。 現像液の時とは違い、フィルムを緩める必要はありません。
今度は10回転させた後、逆回転にゆっくり回し、重くなったら再度10回転を4分間繰り返します。 逆回転に回すときは4〜5回転を目安にするとよさそうです。
パトローネをタンクから取り出しオープナーでパトローネを開けます。 この時点でフィルムに白い部分が残っている場合は定着が不十分なため、再度タンクに入れ定着作業を2分間行うようです。
フィルムを水で洗います。浴室でシャワーを利用して行いました。
フィルムが丸まってしまいますが、クリップを付けて一度持ち上げ、写真のようなコの字形にすると形状が安定します。
水を出し続けて20分後、フィルムを乾燥させる前に水中でガーゼを用いて軽く洗います。
浴室の窓に引っ掛けて乾燥させました。浴室はホコリやチリがほとんどなく、水も出るので自家現像に最適な環境と言えるでしょう。
ガーゼで水気を拭き取ります。このときしっかりと水分をとらないとムラになるようです。 写真用のセルローススポンジやフィルムワイパーなどを利用すると良いそうです。
乾燥したらフィルムを切り分けましょう。普段からフィルムスキャン用の手袋を装着して作業を行いました。
以上、水洗する時間を含めなければ15分ほどで全作業が完了します。 コスト的にはともかく、自分で直ぐに現像できるという点が面白いでしょう。 私の場合は失敗してもまぁいいかという写真をフィルムで。そうでない場合はデジタルで記録しますが、そうでない方は避けた方がいいかもしれません。 あくまで道楽用です。夏休みの研究にどうでしょうか?(笑)
※今回紹介した現像方法は、ほぼ説明書の通りの方法でが、この記事をみて実際に行ってみようと思った方は、ネットや書籍で更に情報収集をしてみて下さい。水洗時間を短くするためや、乾燥ムラをださせない薬品を使用する方法もあるようです。
以下の写真はFUJIFILM NEOPAN100 ACROSで撮影し、自家現像したものをスキャニングしたものです。
撮影機材: Olympus OM-1 50mmf1.8 35mmf2.8
全体的に僅かなシミが生じた以外は良好な現像ができました。
こちらは現像に成功した写真です。白黒ならでのノスタルジックな雰囲気を受けます。
逆に現像に若干失敗している写真です。左上に黒いシミがあります。 このシミはフィルムを目視した段階で発見できましたが、中央ポストマーク上のようなシミはスキャンしてから発見しました。 水滴がついたまま乾燥させたせいでしょうか?
そのようなシミもこんな感じに出てくれると、微妙にアート感が出ます。
鶴見線浅野駅に居た黒猫。